#生徒会執行部さん視点の話
さて、今日もオリジナルさんのバナナ配りが始まった。
当然ながら一番乗りのストレンさんが、今日もバナナに飛びついている。
「たまには1本おまけとか、ない?」
「ない。我慢して」
「ちぇー」
オリジナルさんに言われて、ストレンさんはほっぺを膨らませながら去って行った。
「おー、バナナの妖精だ!」
「妖精きた!」
向こうの方では、スタエナさんと浴衣さんがわいわい騒いでいる。
あの二人は走りに行くだとか祭りに行くだとかで、
たまに居なかったりするんだけど、今日はいるらしい。
「はい、バナナー」
特に妖精と言われたことには突っ込まずに、オリジナルさんはその二人にバナナを渡す。
「おおー! 妖精さまー!」
「ありがとー! 妖精さまー!」
……こいつら……。
しかしオリジナルさんもオリジナルさんだ。にこやかに「妖精だよ~」とか言っちゃって……。
僕がしばらくそのやり取りを見ていると、いつの間にか、横にバボさんがいた。
バボさんもそのやり取りを眺めていたらしい。
バボさんが、マスクを着けたまま小さな声で何か言った。
「……オリジナルさんって……バナナの妖精だったんだ……」
え?
慌ててバボさんの横顔を見ると、バボさんの目はものすごく真剣だった。
「そっか……妖精さんだから、いつもあんなにバナナを配れるんだ……」
「ちょっと待ってバボさん!!!!!」
バボさんまじ何言ってんだろう。
いつも思うけど、その容姿に合わないことを結構言ってる気がする。
「あのねバボさん! 妖精じゃ! ないから!」
「え? ちがうの?」
きょとんとした目でこっちを見てもだめだ。ああ、もう……この天然……。
#おまけ(視点変更)
今日もおやつにバナナを1本。
皆にバナナを配るのは僕の使命だ。
身体が勝手に動いてしまうから仕方ない。
今日はスタエナくんと浴衣もいるみたいだ。
さあ、張り切って配りにいこうかな!
「おー、バナナの妖精だ!」
「妖精きた!」
二人とも、やっぱりバナナを楽しみにしてたみたいだ。
「はい、バナナー」
「おおー! 妖精さまー!」
「ありがとー! 妖精さまー!」
「うんうん、妖精だよ~」
ああ、笑顔がまぶしいなぁ……。
ノリで妖精だよ、なんて言っちゃったけど、何となくそんな気がしてきた。
そっか、僕はバナナの妖精だったのか、そっかー。そうだねー。
言われてみれば、そうかもしれないなー。
そりゃ毎日、バナナを配り歩いてて妖精じゃないわけがないもんねー。
「おい」
僕がバナナステッキを持っているところまで想像していたら、
アペンドが後ろから僕の肩を叩いた。
「バナナ」
アペンドが右手を出してきている。
まったく、催促かよ。
……と言っても、僕は妖精だから、ここはにこやかにバナナを渡しておかないとね。
「はい、バナナの妖精からアペンドくんへ上質なバナナ~」
「……」
アペンドは白けた顔で僕の手からバナナを奪い取って、
「頭どうかしてんじゃねえの……くん、とか気持ち悪い」
そう吐き捨てると、すぐに去って行った。
全く、ノリの悪いやつだなぁ。あいつは。
#お話していたらネタを頂いてしまったということで。