会話#007「化身」

#オリジナルさん視点

今日は、新しい僕の仲間が増える日だった気がするけど、
バナナ食べたい。

……バナナ食べたい。

同じものばっかり食べてちゃだめでしょー、って、言われた気がするけど、
バナナ食べたい。

その、新しい仲間が来る時間に合わせてバナナを配ろうと思ってたけど、
いつもの時間より遅れるんだよなぁ。
バナナ食べたい。
あー。バナナバナナバナナ。

バナナが歩いてきた。
おいしそう。

あれ、でもバナナって歩いてくるっけ?
うーん、でも、何かおいしそうだし……。

「あー、はじめまし……!?」
「バナナー!!!!」

僕はそのバナナに抱きついた。
何かやっぱりバナナのにおいがする気がする。

「うわー!」

バナナが僕の腕をすり抜けた。
そしてバナナが僕から遠ざかっていく。
に、逃げられた!?

「待てー! バナナー!」
「うわーん!! 助けてー!!!」

バナナを追いかけて、また捕まえる。
このバナナ、抵抗する……。

あれ? でもバナナって動くっけ?
いや、でもこれはどう見てもバナナ……

僕がバナナを動かないように必死で抱いていると、
突然頭に衝撃が走った。

「ちょっと! 何してんのオリジナル!!」
「いたた……」

バナナが、……じゃなくて、僕によく似た姿の人が、よろりと座り込んだ。
そして、僕の頭を叩いたのは、パンキッシュくんだった。

「大丈夫? 痛くなかった? 君、「ストレンジダーク」だよね?」
「……う、うう……大丈夫……」

……ああ、思い出した……
そういえば、新しい仲間の一人だったっけ、この人……。
よく見たら全然バナナじゃなかった。

「さて……オリジナル、何でストレンジダークに抱きついてたの?」
パンキッシュくんが僕をじろりと睨む。
「……バナナに、見えたから」
僕は正直に答えると、更にパンキッシュくんは頭を一度叩いた。
「初日からなんてひどいことを……」
「ちょうどバナナが食べたいって思ってたから……」
「……あー。今日は時間遅らせたから、
我慢してるうちに禁断症状が出ちゃったと」
パンキッシュくん、僕のことよく分かってるなぁ……。

「ま、オリジナルはバナナ好きすぎてこうなっちゃうことあるみたいだけど、
今度こういうことがあったら、一発殴るなり蹴るなりしてやって」
パンキッシュくんがストレンジ―ダークくんに言う。

「……いいんですか? 殴っちゃって」
ちょっとだけ、そう言ったストレンジダークくんの笑顔が怖く見えたのは……ま、まあ。