会話#009「撮影」

#生徒会執行部さん視点の話

アペンドさんたちが、カメラの前でポーズをとっている。
リンアペンドさんとレンアペンドさんは、見事に左右対称のポーズできめている。
息合ってるなぁ。

撮影が終わると、二人は確認用の写真を受け取って、それから、
お互いに「じゃあね」と小さく手を振って別れた。

「ねえねえアペンド、どんな感じになった?」
オリジナルさんが、アペンドさんに駆け寄って、確認用の写真を覗き込む。
「こんな感じー」
「おー! きまってるぅ!」
オリジナルさんとアペンドさんが、お互いの写真を見せ合って、わいわいしている。
あの二人、仲良いんだなぁ。
まあ、そりゃそうだよね、前からずっと一緒にいるんだろうし。

その後も、撮影は続く。
順番は決められていて、僕は最後の方なので、しばらく皆の撮影風景を眺めていた。

トランスミッターさんとレシーバーさんとか、
ああいうペアの人たちはほんと息ぴったりだなぁと思う。

僕の順番も近づいてきたので、撮影の場所に近づくと、
バッドボーイさんがしゃがみこんでいた。
確か、僕よりひとつ前に撮影だった気がするけど。
そうすると、もう次には撮影の順番が回ってくるんじゃないだろうか。

……全然、立ち上がる様子がないなぁ。
もう、次なんだけど。

「……あの?」
声をかけると、バッドボーイさんがしゃがんだ状態のまま、振り返った。
「次……じゃ、ないですか?」
そう言うと、バッドボーイさんは突然立ち上がった。

「あ、ああ、い、行くから」
バッドボーイさんは僕を睨むようにしながらそう言うと、
すぐに撮影場所に入って行った。

……何でしゃがんでたんだろう?

(終)

#まだよそよそしい頃の話

#おまけ(視点変更:バッドボーイさん)

撮影……嫌だなぁ。
アジテーションさんとジェネラルさんはこういうの慣れてそうだけど、僕は……。
雰囲気を合わせれば、何とかなるかなぁ。
でも「もっとこう、挑発するように!」 とか言われたって、
僕には無理だよ……。

ドラムを叩いているときは無心になれるけど、
それ以外でどうこうなんて言われたって。

「うー……」
緊張で座り込んでいると、
「……あの?」
誰かに、喋りかけられてしまった。
「次……じゃ、ないですか?」
あっ、もう次なんだ! どうしよう……!

こ、怖がってる場合じゃ、ない。
それに、こんなびくびくした状態で撮影なんか行っちゃいけないよね……。

「あ、ああ、い、行くから」
何とか「悪いイメージ」を頭で作りながら、僕は撮影場所に向かった。
こ、こんな感じで言えば、ちょっとは怖がって、もらえるのかな……?
あまり怖がられたくもないけど、し、仕方ないよね……。
僕もちょっとは、そういう練習をしないと……。