#ブルームーンさん視点
ストレンが、床に座って、床を指でいじいじしている。
「あ~あ」
溜息を声にまで出して、いかにも「落ち込んでます」という感じだ。
なんか、ストレンはあまり信用できないんだよな。
ここで「どうしたの?」 なんて優しく声をかけた奴は、
ストレンに「しめしめ……」なんて思われて、うまいこと利用される。
ストレンはかわいい顔をしておいて、あとで裏の顔を見せる奴だ。
例えば、「なぐさめるためにバナナ100本用意して」とか、
「イライラ発散したいから、サンドバッグになって」とか……。
俺はとにかく関わらないよう、その場を離れようとした。
すると、近くにアペンドがやってきた。
……こいつも信用できないのに……。
俺は、ストレンとの距離を保ったまま、アペンドからも離れた。
アペンドは、ストレンのところへ近づいていった。
まさかこいつ、ストレンに声をかけるつもりだろうか。
やめとけ……と言おうと思ったが、
まあ、こいつには身をもって知ってもらった方がいいだろう。
ストレンが近づいてきたアペンドの方を見上げようとすると、
アペンドはストレンの真横に、ストレンと同じように座った。
「あーあ」
アペンドも、同じように床を指でいじいじし始めた。
何こいつ……!
「今日も愛嬌がないって言われた……」
アペンドが、ものすごくテンションの低い声で言った。
「かわいさが抜けてないって言われた……」
ストレンも同じ調子で言った。
「そんな媚びたことやれなんて言われたって……」
「かっこよくしろって言われたって……」
そう言って、二人とも同時に溜息をつく。
……こいつら……何してんの……!?
二人の周りに、すごく暗いオーラが見えてきた気がする。
妙に息ぴったりだし、
これは、会話してるのか、
それとも、お互いを壁と思って独り言を言っているのか……。
……ていうか、何で俺はこの場にいるんだろう……?
「あ、ブルームーンくん……」
アペンドがこっちを向いた。
うわああ! 見るな! こっち見るな!
表情が暗い! 見てられねえよ!
「ブルームーンくんも、じめじめトーク……する?」
「……し、しねえよ!!」
俺は慌ててそこから逃げ出した。
な、何なんだよ、じめじめトークって……!