#028
#とりあえずまあバナナ食えよ
自己紹介の会も終えて、それぞれの部屋に皆が戻るのを確認して、
それから、僕はあいつの部屋に向かった。
そこは、一度僕が部屋を後にした時と全く同じ状態だった。
あいつは、目を開いたままそこに突っ立っていた。
「……もう一回聞こうか。僕の言葉は分かる?」
僕は同じことを言った。
あいつは全く、表情も目線も動かさなかった。
「……何なの」
口を動かそうともしない。
その目が僕を見ているのかすらわからない。
怒っているわけでも、笑っているわけでも、泣いているわけでもない。
時間をおいたら勝手に動き出すかと思ったけど、駄目だったらしい。
本当に「動作不能状態」みたいだ。
あいつは僕に感情の付加された存在のはずだった。
それが何で、こんな状態のまま全く動かないのか。
僕よりずっと性能のいい存在、……と、いうと、ちょっと僕は妬ましい気がしたけど、
それでも僕の統率の役割は、これからあいつと分け合うつもりだったのに、
それが何で、こんなことになっているのか。
本当に、お前を妬もうか。
……僕は、僕以外を操るような真似はしたくなかったけど、
できるとしても、僕は放任主義でいようと思ったけど、
さすがにこの状態は例外だし、動作させないとまずい。
そう思って、僕はあいつの意識に干渉した。
「――アペンド、君は、何を考えてるの」