#スターマインさん視点
「……何か、案内を任された扇舞です。よろしく」
僕は新しい僕たちの仲間が並んでいる前で頭を下げた。
これってオリジナルさんとかアペンドさんの仕事じゃないのか。
「先輩! よろしくおねがいします!」
この元気のいいのは、えっと、恋するシロクマ?
なんか形容する言葉まで付いちゃった不思議な名前なんだなぁ。
シロクマくんでいいか。
「よろしくおねがいします」
素直な後輩のように普通に頭を下げてきたのはシエル、だったかな。
まあシエルくんでいいか。短くて呼びやすいな。
「どうも」
うーん、この頭につけてる面の威圧感がすごいのがアヤサキ、だったか。
まあアヤサキくんだろう。
「よろしく、おねがいします」
このいかにもアイド……あ、これは言っちゃ駄目だったか。イレイザーだったな。
イレイザーくんでいいだろう。
「よろしくおねがいします!」
うん、なんかこのファッションいけてるーみたいなのはホワイトエッジだったかな。
長いな。エッジくんでいいや。
大体なんでオリジナルさんが案内をやらないのか……。
「元新入りのトリッカーくんと扇舞くんが案内すれば、
新入りの気持ちが分かってて、分かりやすくなるかなって?
もう僕は年だからさ~、よぼよぼ」
……14歳が何を言ってるんだか……。
それにアペンドさんの方を見てみたら、
「俺は久しぶりに会ったこの人たちに新しい環境のことを教えたいから、
ごめんね、悪いけど頼んでいい?」
って、藍鉄くんとかスクジャくんとかストレンジダークくんとかを引き連れてどっか行っちゃって……。
オリジナルさんに比べれば仕方ないかなって気分にはなったけど。
……で、トリッカーくんが何でいないかっていうと、
「ふふ、新入りに僕もやっと先輩風吹かせられるんだ、やったねー!」
って調子ぶっこいてて、
「……ううん、君には任せるの心配になってきたな」
ってオリジナルさんにつかまっちゃったんだよな。
で、僕一人、と。
「えーと、みんなそれぞれ部屋があって、シロクマくんはここでしょ、……」
と、部屋の紹介をして、
「ここは練習場、あっちはスタジオ、あっちは中庭」
と、適当に便利そうな場所を紹介して。
「で、ここは調理室だけど」
僕は滅多に行かない調理室を覗いた。
……執行部くんが……クッキー……焼いてる……。
「好きなだけ見ていいよ」
ま、あいつは、ああいうやつだからな。
「あれ、執行部くん?」
シロクマくんが聞いてきた。
「うん」
「何でクッキー焼いてるの?」
「あいつね、好きな女の子がいるんだよ。
その子がお菓子作るの好きだからって、自分もお菓子作るようになってさ」
僕が言うと、皆が、へぇ~、って驚いた顔になった。
「けどねあいつ、その女の子にまともに話しかけることすらできないんだよ」
「えー? 男たるもの、アタックしなきゃ! だよね!」
「そうそう!」
シロクマくん、よくわかってる。
「あとで、あいつにアドバイスでもしてやってね?」
案内から話をそらしちゃったけど、
僕に任された以上はいいよね、これぐらい。
#後に執行部さんへ
「女の子に積極的に話しかけられないって聞いて!!
新入りの僕たちからメッセージを!!」
「え!!!」
「このあふれ出るカリスマ感で!」
「積極的に!」
「なれば! 僕たちのように!」
「……君たち、エッジくんとシロクマくんだったっけ? なんなの?
僕に喧嘩売ってるの?
確かにシロクマくんはパンダさんと仲良さげだし?
エッジくんも女の子をエスコートするのうまそうだけど?」
「執行部さん。執行部さんもフードつきの服を着たら、
もしかしたら自信が持てるかもしれません。僕も、シロクマくんも、エッジくんもフードつきです、ほら」
「シエルくん、君まじめそうに見えて何を言ってるのかな?
あなたもそういえばソレイユさんという相手がいらっしゃった……もん……ね……? その自信は……」
「君は、後ろで髪を縛るべきだと思うな」
「イレイザーくんだっけ……確かに……僕は唯一の短髪だけど……? それ関係あるかな……?」
「だったらこの髪を分けようか」
「あ、いいですアヤサキさんそういうの。確かにあなたの髪は人一倍いっぱいありますけど」