※この話は(1)#041(2)#042(3)#043(4)#044(5)#045(6)#046のまとめです。
#041
#アペンドさん視点
バナナを配る時間帯でもないのに、オリジナルが部屋にやってきた。
「何?」
「アペンドー、仕事のお知らせー」
俺の前の机に、オリジナルが紙を叩きつけるように置いた。
「また? またなの? アペンドは忙しそうでいいねー」
なぜかオリジナルは嫌味な感じでそう言ってきた。
「でも、前回の仕事は何もすることなかったんだよ?
行ったら、「あ、今回やることないから、帰ってもいいよ」だって!
ひどくない?」
前の仕事のことを思い出したら、……ちょっと腹が立ってきたかもしれない。
「でも呼ばれただけましじゃないの? 贅沢言わない」
「いやだから、呼ぶ必要なかったなら呼ばなきゃよかったでしょって……」
「あー、どんまいどんまい」
オリジナルの受け答えが適当すぎる。
また同じだったら許さないぞ、と思いながら、
さっきオリジナルが机に置いた紙を開くと、今回の仕事の詳細が書かれていた。
『背中に機械の翼と、顔に眼帯をつけてきてください。』
何かめんどくさいこと書いてあるなあ。
……眼帯?
「へー。眼帯だって。中二病アイテムだ」
オリジナルが言って、俺は急に、うわ、と思った。
「どうせこれ、かっこよさそうとか思ってつけさせるんだろうね。
いくら14歳だからって、まったく」
俺が言うと、オリジナルも、
「眼帯つけてると中二病っぽいーとか言われるの、結構うんざりするよね」
と、割と同意してくれた。
これに対しては同意見だったみたいだ。
「まあでも? 撮影はアペンド一人の仕事でしょ。
僕関係ないね。あーよかった。
中二病は君一人で十分! わーい」
急に声のトーンを変えて、オリジナルはにやにやして俺に言うと、
用事は終わったから、みたいな雰囲気で、部屋から出ようとした。
俺はやれやれ、と思いながら詳細の続きを読んで、気付いた。
「待って、オリジナル」
なに、とオリジナルが振り向く。
「オリジナルも撮影の後は別バージョンでこの仕事やるって書いてあるよ」
「……は?」
「……つまり、お前も中二病仲間だ」
「えっ」
「よろしく」
「や、やだー!!!」
俺は部屋を出ようとするオリジナルの肩を掴んで、
その表記部分をオリジナルに見せつけた。