会話#047+「夢落」 - 1/8

※この話は(1)#047(2)#048(3)#049(4)#050(5)#051(6)#052(7)#053(8)#053.5のまとめです。


#047

#トリッカーさん視点

今日も、いただきます。

「君はいつになったら、口を開いてくれるの?」
「そのままじゃただの抜け殻と一緒だよ」
「別に君が動かなくたって、僕はいいけど」
「何も言わないなら、心がないのと一緒じゃないの?」
「そっか、君に心なんかなければよかったのかもね」
「そしたら、僕もわざわざ君に話しかける必要はないんだ」
「ほんと、嫌いだよ」

「……心なんて、なくても」

……うなされてる。苦しい夢だな。

「それなら皆、形だけでいいじゃないか。
どうして皆が、心を持つんだろう」

苦い……。

「最初からいらなかったんだ」

苦すぎるよ、お願いだから、沈まないで。

しばらく僕はその味に耐えていた。
でも、さらにその夢は闇に沈んでいくような感覚になっていく。

「心なんて壊そうよ」

それは、誰の思いなの?
君?  それとも、相手?
……それとも、

「僕だよ」

――昨晩食べた夢はそんな感じだった。
僕がこの夢を食べたことで、楽になっているといいけど……でも、何か妙な感覚に襲われる夢だった。
所詮僕が夢を食べる行為なんて、あまり影響はなくて、
大して楽になってないかもしれない、し、……それより、
お腹が痛い。

「ごめん、昼ご飯、今日は食べられない……」
「ちょっと、大丈夫? トリッカーくん」
いつも一緒に昼ご飯を食べる扇舞くんが、部屋に迎えに来てくれたんだけど、
お腹が痛くてそれどころじゃない。
「なんだろう……寝不足なのかな……」
僕はベッドの上でうずくまりながらつぶやいた。
頭も何だか痛いし、何かがずっとぐるぐるしてるような……。
「しばらく寝てるから、扇舞くんは先にご飯食べてて……」
「わ、わかった」
扇舞くんは心配そうな声で言って、部屋を出ていった。