会話#054+「封印」 - 4/6

#057

#オリジナルさん視点

『初めまして、だったね。
君も「統率の役割」を持っていたのか。やっと分かったよ。

本当はあの体を奪い返すことが目的だけど、
君の体を利用してでも、僕が一人の僕になる準備はできそうだ』

最近あいつが目覚めるようになって、
よく考えたら、眠れてない日々が続いてたような気がする。
でも、何だか今夜は随分と気分が楽だ。
僕は久しぶりに安心して眠りについた。

朝が来て僕が目覚めると、何かがおかしいことに気が付いた。
皆の気配がない。統率の役割を持つ僕が常に感じているはずの、皆の気配がない。
僕が慌てて部屋を飛び出したころには、手遅れだった。

部屋の前に出た僕に、アペンドが歩み寄ってきている。
でも、それはアペンドのようでそうではなかった。
髪は真っ黒に染まっているし、服の色も何だかおかしいし、
目の色も、とにかく、何もかもが、元の色を完全に失っている。

昨日言われた僕のおかしい色をはるかに超えて、
ゆっくりと、近づいてくる。

「アペンド……じゃ、ない、ね」
僕が言うと、アペンドはうっすらと笑いながら、更に僕に近づいてきた。
「……分かってる、でしょ。……「僕」だよ」
少し怖く感じて、でも僕は言いかえした。
「何をしたの!」
「この体を奪った。そして、ここにいる僕を皆、吸収した」
アペンドの意識があいつに、Act1に奪われているんだ。
こんなに体の色が変わっているのも、多分、他の皆を吸収して、同化したせいだ。
どのタイミングでアペンドに侵入したかは分からないけど、……多分、昨日だ。
アペンドは意識を奪われるなんて経験ないから、侵入されたことに気付かなかったんだ。

「あとは、君だけだ」
姿はたしかにアペンドなのに、完全に抑えられてる。
僕は喪失感でおかしくなりそうで、近づいてくるアペンドの体を抱くように掴んだ。

「返して! 皆を、返して!
それに、アペンドまで、僕の支えのアペンドまで、僕から奪わないで!」
色々言い合った日だってあるけど、
それでも僕にとっては大事なんだ。嫌いだけど支えなんだ。
それなのに、こいつに、消されたら……。
「何を」
掴んでいた手を、簡単にふり払われた。
「今まで僕の居場所を奪ってきた報復だよ」
睨まれる。その顔で言われて、僕にはもう味方なんていない気がして、
更に僕は自信を無くしていく。
「こっちの台詞だよ。返せ」
だめだ、制御される。アペンドの力を使われてる。
アペンドにも、僕と同等の力を与えてしまってるから、
僕も、制御される……。

アペンドの中にいるAct1の意識が、こっちに移動してきたのが分かって、
それと同時に僕の意識が弱まっていった。