会話#054+「封印」 - 5/6

#058

#アペンドさん視点

目が突然覚めたような感覚になって、
俺はびっくりしてまず目の前を見た。

服や髪が徐々に黒に滲んでいくオリジナルの姿が、そこにあって、
昨日の話を思い出して、すぐにただ事ではないことを悟った。
「お前が、あいつの言ってた、Act1か。その色は」
俺が言うと、オリジナルが不気味な笑顔になった。
「……そうだよ」
それからオリジナルは自分の服の色を見た。
「またこんな色か。早く僕を受け入れてよ」
どうすればあいつの意識は戻るんだろう。俺が考えていると、
「あと少しだったのに。油断したな、君の意識が戻ると思わなかったんだけど」
オリジナルは俺にそう言ってきた。

俺だっていつの間にかこうなっていて状況もよく分からないけど、
まだ、何とかするチャンスが残ってるってことかもしれない。
俺はあいつの味方だから、Act1の思い通りにはさせたくない。

「どうして僕は一人になれないんだよ。
Act2だってそうだし、君だってそうだ。何で僕だけじゃ駄目なんだ」
思い通りにいかなくていらいらしているのか、オリジナルはそう吐き捨てるように言った。
「嫌いだ。本当に君見てると、いらいらする」
「……それは言われ慣れてる」
何か、聞き覚えのある言い方だ。あいつと全く同じことを言ってる。

「今まで俺はあいつと、Act2としか話したことがないから、
偏った考えとか思われて当然だけど。
Act1とAct2がいてやっと俺がいるんだ、だから、Act2がいなくなるのは嫌だし、
Act2だって別に、お前を消したいからお前を封印してきたわけじゃないはずなんだ」
俺が言うと、オリジナルはかなりいらいらした顔になった。

「……ああ。うるさいな。
もうそろそろ本気出そうか。あいつじゃなくて、僕が本物のオリジナルなんだよ。
容赦しないよ。今度こそ君の意識も奪ってやるから」
「俺はあいつだってお前だって必要だと思うから、俺だって、負けられないな」

お互いが、お互いの制御に入る。
あいつの意識を、戻さなきゃ。
何としても。

多分あいつの言ってた意識の争いって、こんな感じなんだろうか。
集中しないと、何だか崩れそうになって……でも。

オリジナルの姿が、少し、元の色を取り戻し始めた。
……いける。あいつだってただ眠っているだけじゃない。
あいつもきっと元に戻ろうとしているんだ。

そして、色が元に戻った。