#059
#オリジナルさん視点
僕の意識が戻った。
目の前で疲れた顔をしたアペンドが僕を見ていて、
……ああ、頑張ってくれたみたいだ、と感じた。
「ありがとう、今度こそ、僕の勝ちみたい」
僕が言うと、アペンドは、心配そうな顔で僕を見た。
「本当に、大丈夫なのか? さっきまで相当、お前の意識は弱ってた……」
「大丈夫だよ。君がちゃんと制御してくれたおかげで」
「……そう、なのか?」
「うん」
アペンドはなんだか納得いかないような顔をしているけど、これは本当の話だ。
「僕はAct1を封印することで、実質縛って、殺してたようなものなんだ。
でも、君が言ってた「消したくて封印してたわけじゃない」っての聞いてさ、そうなんだって思ったんだよ。
決意があらためてかたまったよ。ちゃんとあいつとも、共存するんだ」
「え、それ聞いてたの?」
「かすかにね、聞こえただけ」
「……そうか」
僕はあのときに分身すると、一人でなくなることを決めて、
その時に責任を負うって決めたんだから……。
「僕とアペンド以外は皆Act1の意識に吸収されちゃったからね。分離し直さないと」
「そうだったな、俺も手伝うよ」
「いや、全部、こんなことにした僕の責任、だから……君は、眠って。
さっき君は頑張ってくれたから」
「な、何だよ。なんで俺まで眠らなきゃいけないんだよ」
「君が起きてると分離作業に集中できないの。大丈夫だよ、すぐに起こしてあげるから」
不服そうな顔のアペンドを無視して、僕はアペンドを眠らせた。
ごめんね。
起きているのが、意識があるのが自分だけになって、不思議な気分になる。
Act1はこんな状態を望んだのか。……正直、理解できないな。
皆を吸収したAct1の意識はものすごく重くなって、苦しいぐらいで。
でも、これはそもそも、僕が分散させた可能性が広がったからであって。
僕が望んだ、僕の多様化は、こんなに重かったんだ。
少し考え直すと、あいつだって、吸収して同化しようとはしたけど、
皆や、僕やアペンドを消そうとしたわけではなかったんだ。そう考えれば、僕と一緒だ。
元のように皆へ分離していきながら、
最後に、軽くなったAct1だけの意識が残って、
これをまた、僕の中に封じておくかどうかというところまできた。
「統率の役割」がある僕の中にいれば、また同じことが起きて、
また今回のようなことが起きるかもしれないし、
心変わりして、自分以外を消そうとするかもしれない。
……だから、僕の中に封印するのはやめよう。
僕はAct1の意識が目覚めないようもう一度眠らせる制御をして、
それから、自分から、別の体に移した。
「もし仮に、また君が目覚めたとしても、僕は負けない。今度は面と向かって話ができるようにね」
この体には悪いけど、多分そう簡単には目覚めないはずだから……。
「君はきっと、こんなたくさんの自分をまとめるなんて無理だと思ってるだろうけど、
でも、僕も、それにアペンドもいる。ちゃんとやるよ。
アペンドだって、自分の中の3人をちゃんとまとめているんだし。
だから、安心していて。見ててよ」