会話#061+「鈍感」 - 2/4

#062

#トラッドスクールさん視点

「もう! 何なのよ!」
と言いながらも、フェイカーさんは手早く準備を済ませて、
撮影に向かって行った。

予定が突然変わったのもびっくりだけど……。
話によれば、胡蝶ちゃんと扇舞くんの撮影が終わって、
それの別バージョンの撮影のためにフェイカーさんが呼ばれたみたい。
胡蝶ちゃんのやっていたところはフェイカーさんがやることになって、
扇舞くんのやっていたところは、執行部くんが、やることになったみたい。

執行部くんと、一緒か……。
いいな……。

なんて、仕事だもん、うらやましがっても、仕方ないよね。
でも、あとでちょっと撮影の話、聞かせてもらおうかな。

そして、フェイカーさんが撮影から戻ってきた。
私は話を聞こうと思って近づいていくと、
フェイカーさんは、私の顔をまるで睨むようにしながら近づいてきた。

「聞いて」
フェイカーさんは私の前に立つと言った。

「あなたが好きって言ってる執行部くんだけど、ほんと鈍感なのね」
「……え?」
「全然話そうとしないっていうから、そうなんだと思ってたけど、
私にはなぜか話しかけてきたのよ。私なんかに話しかけずに、
あなたに早く話しかければいいのにね」

怒った顔で、フェイカーさんは言った。

執行部くん、フェイカーさんには話しかけたんだ。
……でも、執行部くんは責任感のある人だもん、
きっと場を和ませようとしたんだろうな。

「がつんと言ってやったわ。「この鈍感」って」

フェイカーさんはちょっと得意げな顔になって言った。
こ、この鈍感……すごいなぁ。

「し、執行部くん、へこんじゃうよ……」
「それぐらい言われて当然よ、あんなやつ」

ちょっとかわいそうだな、なんて思っちゃったけど……。
私も話しかけないから、だめなんだけど。