会話#066「赤鼻」

#オリジナルさん視点

「僕たちクリスマス組の中なら、
一番万能なのは僕! この僕だよ!
ていうか僕だけ飛び抜けて万能すぎじゃないかな?
なんていったって頭にトナカイの角つけてるのって僕だけだからね!
しかももちろんサンタ服! プレゼントを入れる袋だって持ってるし。
サンタでありトナカイであり、
僕がいれば一石二鳥ってもんだよ!」

とか、クリスマスの僕が言ってるけど……。

「トナカイ役だろ? ほら、そこに四つん這いになれよ」
「えっ」
「はやく」
「……はい」

クリスマスのリンに命令されてる。
言われたとおりに四つん這いになったところで、
クリスマスのリンがクリスマスの僕にまたがった。

「さー! 進めー!」

多分、僕は馬じゃないし、
トナカイはそりを引くでしょ……とか思ってるんだろうけど、
そんなこと言わせてはもらえないだろうなあ。

一通りまたがって満足したらしいクリスマスのリンが、ようやくどいて、
クリスマスの僕が溜息をついていると、
他のサンタ服の女性陣が、白い袋を持ってやってきた。

「ほら、荷物役だろ? 持てよ」
「えっ」
「ほら」
「……はい」

女性陣に囲われて涙目になっているっぽい。
その状況を遠くから、クリスマスのカイト兄さんが見ている。

「……こら。レンがかわいそうだろ。
そんなに荷物持たせて」

ああ、さすがは兄さんだ。
これこそが救世主ってやつ……

「ほら、お前も持てよ」
「えっ」
「まだ荷物はいっぱいあるのよ」
「……はい」

……だと、思った。