会話#090「太腿」 - 3/3

#扇舞さん視点


おかしいなぁ。いつもなら部屋で、
夢を食べた後には寝てるはずなんだけど……。
起きたら一緒に、いつも通りご飯を食べる予定なのに。

僕がそう思いながら、トリッカーくんがどこかを歩いているか探していると、
スターマインくんが、放心状態で立ち尽くしているのを見つけた。

「おはよー」
「……」
「ねえ、トリッカーくん知らない? 部屋にいなかったんだけど」
「……」
「あ、あの、大丈夫? ぼーっとしてるけど……」
僕がスターマインくんの顔の前で手を振ると、スターマインくんはぼーっとした顔のまま、
口をぱくぱく動かした。そして、とても小さな声で何かを言い始めた。

「トリッカーくんなら……レシーバーの部屋で……寝てた……
意味わかんない……夢だ……夢に決まってるよ……」

そう言った後、スターマインくんはよろよろと歩き始めた。

「え????」
なんか、よく分からないけど、
とりあえずトリッカーくんがレシーバーくんの部屋にいることは分かったし、
僕はレシーバーくんの部屋に行くことにした。

「あっ、扇舞くんっ!」
レシーバーくんの部屋に行くと、レシーバーくんが立ち上がって僕の方に寄って来た。
「トリッカーくんがここにいるって聞いたんだけど」
「うん、いるっていうか、何でいるか分かんないんだけど……
何かうなされてるんだよね……」
レシーバーくんはそう言いながら、布団の方に振り返った。

「うーん、太もも……ご褒美……です……」
「……は?」
なんか、よく分からない寝言を言ってる。
仮にも人の布団で寝ておいて、何言ってんだろう。

「僕スターマインになんか勘違いされたみたいだし! よくわかんないよっ。
とりあえず僕はスターマイン探しに行くからっ」
レシーバーくんはそういうと、僕が何を言う暇もなく、
部屋を出ていってしまった。
……ま、まあ、トリッカーくんは僕が責任を持って、
部屋に連れ帰るしかないか……全く、夢を食べに来たのか知らないけど、
何で人の布団で寝てるのか……。

「ちょっと、トリッカーくん、何で寝てんの。起きて。
夢食べるのに人の布団にもぐりこんでるの?」
僕は寝ているトリッカーくんをゆすった。
「うーん……あっ!」
トリッカーくんは、ゆすられて目を覚ました。
「いけない、僕まで寝ちゃってた……」
「何してんの」
寝落ち、なんてこともあるのかな。
そう思いながら、僕はトリッカーくんの腕を引っ張った。
トリッカーくんは、眠そうな目で僕を見つめて、それからはっとした顔をした。
「あっ! 太もも様! じゃない間違えた! 扇舞くん!」
「……太もも様って……なに……」
「あはは気にしないで! こっちの話だよ!
まさかね、そうだよ、扇舞くんは扇舞くんだよ、はははは」
「……ほんとなんなの」
トリッカーくんはそう言ってから僕から顔をそむけると、
逃げるように部屋から出て行った。

なんで、太ももとか言ってたんだろ……?