※この話は(1)#095(2)#096(3)#097のまとめです。
#オリジナルさん視点
#095
最近は僕の曲の撮影の仕事が増えているみたいで、
その度に僕が仕事のお知らせをしに行くわけなんだけど、
撮影で何も起きない訳じゃないだろうし、ちょっと悩むこともあるみたいで、
そういう悩みを聞いてあげるのが僕の使命だと思ってる。
……僕自身に撮影の仕事が来てない気がするのはこの際関係ない!
まずは、執行部くんかな。
いつもある、別バージョンの撮影で、
いつもは別の人に交代するはずが、今回は続投でって言われて、すごく驚いてたけど、
それから疲れてないかな、大丈夫かな。
「おつかれー、執行部くん」
「あ、オリジナルさん、こんにちは……」
やっぱりちょっと疲れてるのかな。
「撮影はどうだった?」
「何とかやってます」
「別バージョンはバボくんと一緒だっけ? バボくんとは前にも一緒だったから大丈夫だよね?」
「はい、……バボさん、終わるたびに僕に頭下げてくるからちょっと困ってますけど」
「あはは……」
「それは慣れてるからいいです。……それより、僕が今回の役に当たった理由を聞いたんですけど」
「うん?」
確か執行部くんの役って、いろいろ指令される一般人学生的な何か、だったような気がするけど。
いわゆるリンと僕のペアとはちょっと違う立ち位置だったっけ。
「その、「鏡音レン」のポジションとは違う役だから、
その髪型が全然「鏡音レン」っぽくないからぴったりだって……。
それで僕が続投だなんて……」
執行部くんは頭に手を当てて、落ち込んだように言った。
「ぴったりだったならよかったんじゃないかな、執行部くんにしかできないことだったんだよ」
「で、でも、僕、レンっぽくないって……」
そうかぁ、それで悩んでるんだ。
僕はそっと懐を探った。
「大丈夫、君だってちゃんと僕だよ。元気出して。バナナ食べる?」
僕はバナナを取り出して執行部くんに渡した。
「オリジナルさん……」
執行部くんはそれを受け取って、ちょっと安心した顔をした。
「執行部くん以外にも僕に全然似てない人はいるよ。大丈夫大丈夫!」
「そ、そうですよね」
「何より君もバナナが好きなら問題ない! さ、食べて食べて!」
これで、一件落着!
これこそ、僕の「バナナの妖精」の力発揮!