いつか全員をここに呼ぶという夢は、僕だけに限った話じゃない。だから、まずはエレメントごとに最低一人は呼んでこようって話になったんだ。
ここで振り返ると、僕とイレイザーくんはニュートラル、エッジくんとスクジャくんがキュート、パンキッシュくんとライトニングストーンくんがクール、藍鉄くんがカオス……だから、あとは、ビューティのモジュールが呼べれば、とりあえず目標達成だ。
そういえば、今までのステージでは、実はミク姉の曲やリンの曲を借りてやってきたんだけど、ビューティエリアには、僕のソロ曲がある……! 僕にビューティなんて似合わない? そんなことは言わせない。魅惑のステージで、僕の新しい魅力に……えへへ……。
「なんでにやついてんだ」
パンキッシュくんに言われて、僕は慌てて顔を引き締めた。
「にっ、にやついてなんか」
「そうかー?」
「ああもー! 次だよ次! ビューティエリアに行って、僕のソロ曲のステージにするからね!」
しかも、僕のソロ曲ってことは、曲にぴったりな衣装があるはず。つまり、この曲には、必ず新しい仲間が来てくれるはずなんだ。
もちろん、他に来てない仲間が来てくれることもあるだろうけど、そのぴったりな衣装のモジュールは、その曲のステージをやらないことには来てくれないってことだ。
あの曲は、そうだなあ、パンキッシュくんにも合いそうだけれど、せっかくだから……。
「ライトニングストーンくん、さっそく来てくれた記念に、ステージに立ってくれないかな」
「わかった。やってみせるよ」
「皆もいいよね?」
一応、他の皆にも確認をとる。全員がうなずいた。
「新入りの初舞台だ、しっかり見届けなきゃな」
パンキッシュくんも期待の眼差しだ。
「ところでライトニングストーンて長くね? 呼ぶときはもっと短い方が楽なんだけど」
パンキッシュくんが言って、ああー、と皆が言った。パンキッシュくんですら長くて、パンキくんって呼ぶことがあるぐらいだからなあ。
「ホワイトエッジはエッジの方で呼ばれることが多いな」
「そうだね、イレイザーは真面目にフルで呼ぶけどさ」
イレイザーくんとエッジくんが話している。イレイザーくんはこの調子だと、ライトニングストーンくんのこともそのまま呼びそうだ。
「俺たちクールエレメントモジュールの名前には「ストーン」が必ず入っているから、呼ぶときに区別したいならそっちは使わない方がいいと思うんだ」
「ふーん、なら最初をとればいいか。ライトニング……すら長く感じるな。ライトでいいか」
……というパンキッシュくんの言葉で、とりあえず、ライトニングストーンくんのことは、略してライトくんと呼ぶことになった。
そんなわけでライトくんの初ステージが始まった。
かっこいいダンスを踊るのを見ていると、様になるなあ、と思う。
皆もそれを見守っていて、それぞれが手や足で小さくリズムをとっている。
やっぱり、僕の持ち歌だからかな、皆、心なしかノリノリなのかも……?
そしてついに、変身の時がやってきた。
「誰が来てくれるんだ?」
「……もちろん僕だよ」
そう言って現れたのは……お待ちかねの!
白と黒の縦縞模様な服、長さの違う組の靴……ふわっとさせた髪型に、僕と同じ色の瞳だ。
まさに、この曲のための衣装。ますますステージも盛り上がって、曲も最高の気分で終わりを迎えた。
「いらっしゃーい!」
僕と、皆で、ステージから降りてくる彼を出迎えた。
「ホーリィランサーだよ。……よろしく」
これがビューティエレメントのモジュールの一人か……。
かっこいいっていうか、それよりやっぱり、魅力的、っていうのかな?
「よろしくな」
「よろしくー」
見ていた皆も挨拶を交わしている。
僕はその話声を聞きながら、エリアのボルテージを確認した。
……あ、また、クリスタルができたみたいだ。
ということは、今度は、ビューティエレメントの特別なモジュールも、呼ぶことができるのかな?