僕達は次のステージへ向かった。
「仲良くする間がなかったって言ってもさあ、今一緒にいるからって何かすることあるの?」
ボクサーくんは、さっきスターマインくんに言われたことを受けて、移動中はスターマインくんに話しかけていた。
「えっ、それはいろいろあるでしょ」
「具体的には?」
「……、えーと……」
スターマインくんはボクサーくんの顔を見て考え込んでいる。
「ほらないー! 僕はなんにも思い付かないし!」
「うっ、うるさーい! ボクサーくんが居なさすぎなんだよ!」
うんうん、仲良くしてる。よかったねー。僕はほほえましいやり取りを聞いていた。思わず顔も緩んじゃうね。
さてさて、次はどこかの街みたいなステージだけど……やっぱりこのエリアって、何か独特なものが多いなあ。
いつも通りの段取りでライトくんがステージに上がっている間は、さすがに皆ステージの上をしっかり見つめていた。
今回も問題なく進んで、交代の時間がやって来た。
「あっ、さっきの」
「もう一回来てみたよ。……大丈夫かな」
出てきたのは、さっきも来てくれてた、レシーバーくんだ。
「あー! がんばれー!」
姿に気づいたスターマインくんが手を振っている。
「スターマインくんがさみしがってたからー! がんばれー!」
その後ろから、ボクサーくんが言ってる。
「えっなにそれっ」
「レシーバーくんがいなくてさみしいから、あんな話してたんじゃないの?」
「そりゃさみしいけど、それとこれとは違うの!」
「まあまあ、今は騒がないでおこうよ……」
鶴くんが仲裁して、ステージのレシーバーくんに目線を戻す。
「今度は大丈夫そう」
「よかった、なら頼んだぞ!」
ステージで交代の段取りを終えたレシーバーくんとライトくんは言葉を交わすと、ライトくんが袖の方へ走っていった。
レシーバーくんは、今度はちゃんと振りを完璧にやって見せた。そしてそのまま、曲の最後までいった。
「ということで、レシーバーくんです」
客席に降りてきてもらって、恒例の紹介をした。
「待ったよー」
「やっと来れたよー」
早速スターマインくんとレシーバーくんが仲良さそうにしていて、ボクサーくんは皆に紛れて見守っている。
「レシーバーが来たから思い出した。ボクサーくん! せめてこっちにいる間は、ゲームしたりして一緒に遊ぶんだからね!」
スターマインくんが紛れていたはずのボクサーくんに言った。
「えー、レシーバーくん来たのに?」
「一緒に遊ぶぐらい、いいじゃん、ねぇ?」
「僕はいいよ」
レシーバーくんも一緒に遊ぶのは歓迎みたいで、多分、部屋に帰ったあとは遊んだりするんじゃないかな……。
「ああ、レシーバーくん。僕も思い出したことがあって」
「え、オリジナルさん?」
レシーバーくんがこっちに振り返った。僕も待ってたんだよねー。
「トランスミッターちゃんがね、もうずーっとレシーバーくんのこと待ってたから、会ってあげてね」
「……そうなんだ……」
レシーバーくんは、なにか嫌な予感がしているっぽい顔で言った。
「まだ僕以外、僕達がいない間から言ってたから、相当待ちくたびれてると思う」
「そ、そんな前から!? うわあ……」
「たぶん、今頃はリンのオリジナルとかが「ニートまだ?」を聞きすぎて頭痛めてるよ」
「そんなに迷惑かけてるの!? あーもう……っていうかニートじゃないし……」
レシーバーくんは頭を手で押さえた。するとそのあとに、レシーバーくんのヘッドホンあたりから、なにか音が漏れだしてきた。
「ねえレシーバー! 来たの? 来たんだよね! 聞いてる? ねえっ! ニート!」
……音漏れの癖にはっきり聞こえすぎて、僕達は皆で苦笑いしてしまった。