#044
俺なりに、眼帯に慣れる方法を考えたけど、
……なりきる、って言ってたし、
思い切って、中二病を演じてしまえばいいかもしれない。
「うっわ何だそれ! 中二くさい!!」
って笑えるボケってやつだ。それだ!
俺も恥ずかしさをいい加減に忘れなきゃいけない、これぐらいのことはやってのけて当然。
俺はそう決めて、仕事外でも背中に羽と顔に眼帯をつけることにしてみた。
すると早速、オリジナルに出くわした。
「あれ、仕事の時間じゃないよね。
あんなに嫌がってたのに眼帯つけてるじゃん。やっと諦めがついた?」
ここで普通に答えるんじゃなく、ボケるんだな。
やっぱり中二病の台詞って、あれだよな。
「……」
「?」
俺は眼帯をしている右目の方へ手を当てた。
「俺の右目が……疼くぜ……」
言った。
俺は手を元に戻した。
オリジナルが、ぽかーんとした顔で、俺を見ている。
「言った。うん」
反応が、ないけど、まあいいか。
俺だってボケるんだぞ、ということも知ってもらいたかったし、ちょうどいい。
俺はその場を後にした。
そのままの姿で歩いていると、
今度は藍鉄くんを見つけた。
藍鉄くんは俺が冗談を言うことは知ってるはずだし、ちゃんと聞いてくれるだろう。
「あ、アペンドさん。新しい仕事が始まったそうですね。お疲れ様です」
相変わらず藍鉄くんは丁寧だな。
「……」
「アペンドさん?」
さて、ボケようかな。
「実は、俺は君とは住む世界が違ったようなんだ……。
この背中にこれが現れたときに分かったんだ、今までの俺は偽りだったって。
今まで、騙してて、ごめんね」
言った。
藍鉄くんはしばらくあっけにとられていたけど、急に涙ぐみ始めた。
「う……も、もう、今までのアペンドさんは……いないって……こと……」
そう言って、うつむくと、しゃがみこんでしまった。
な、泣かれた。
あれ……?
あ、でも、藍鉄くんはきっと、俺のボケに合わせてくれてるのかもしれない。
そうか。それならいいな。
俺はその場を後にした。