会話#071+「善悪」 - 2/4

#072

オリジナルさんも部屋から出て行ってしまったし、
僕は渡された紙の内容を確認することにした。
撮影の上での、おおまかな役のイメージがそこには書かれていて……。

『バッドボーイ:犯罪を重ねてきた少年の役。
生徒会執行部:少年を逮捕する役目を負う警官の役。』

……僕、警官の、役なんだ。
うーん、他に警官っぽい格好の人もいなくて、僕が選ばれたんだろうか?
これ、学生服なんだけどな。普通に。
……それより、バッドボーイさんは犯罪者の役なんだ。
何となく、名前に合っていそうな感じはするけど、
……どんな撮影になるんだろう……全然想像ができなくて、僕はしばらくもやもやしていた。

そして、実際の仕事の日はやってきて、
僕はそこで初めて、バッドボーイさんとまともに向かい合った。
マスクをしているバッドボーイさんの目はやっぱり、目の前で見ても鋭く見えて、
僕はちょっとだけびびった顔をしそうになった。
……でも、バッドボーイさんだって同じ僕たちの仲間じゃないか、
何を恐れる必要があるんだろう、と、思い直して、
僕はあくまでも堂々としたふりをした。
「これから、よろしく、ね」
僕が言うと、バッドボーイさんの目はやっぱり僕を睨んだまま、
「ああ、よろしく」
マスクの中で確かに、バッドボーイさんはそう言った。

……そういう、人なんだ。
結構「一緒だー! よろしくー!」 なんてテンションの人が周りに多くて、
逆にこういう、冷静な感じの人がいることを、僕が忘れていただけだ。

それから実際の撮影が始まって、
ダンスの指示をされて踊ったり、立つ位置を指定されてポーズをとっていたりしたけど、
基本的に僕とバッドボーイさんの撮影は別々に行われた。

バッドボーイさんにはマスクを外す指示がされていて、
撮影中はマスクを外していて、何だか新鮮な気分になったけど、
撮影が終わった途端、バッドボーイさんはすぐにマスクをつけていた。
まあ、そっちの方が、それっぽい感じもするんだけど……。

シーンの交代のたび、僕たちはすれ違って、
そこで目が合うたび、何となく僕は睨まれている気がしたけど、
……やっぱり、若干、威圧感がある……気が、する。
それによく考えたら、犯罪者役だもんな、それこそ、恐くないと逆におかしいか……。

そうして僕たちはそれぞれのシーンの撮影をこなしていった。