会話#098+「越冬」 - 3/3

#100

#アペンドさん視点

だんだん肌寒くなってきた。俺も肩が冷える。
多分俺の他にも、肩が冷える人がいるだろうけど。
肩に限らず、若干空いたお腹の辺りが冷えるとか、色々。

「なーあー、藍鉄ー、もふらせろよー」
「またブルームーンさんはそういうこと言ってー。いやですー」
……やってる。たまに見るんだよな。あの光景。
藍鉄くん、迷惑してるじゃないか。
でも、ブルームーンくんは、もふ分が切れると本当に落ち着きがなくなるからな。
前も、温かい飲み物を作りに来てたまたま鉢合わせたら、
俺がまだ何も言ってないのに、ブルームーンくんが俺のこと睨んできて。
意味わかんない、って思ったけど、多分、さっきみたいに藍鉄くんに断られた後だったんだろう。
断られたから、仕方なく自分も温かい飲み物で紛らわしに来たんだ。

意味もなく睨まれたくないし、それに、俺は本当は、誰とでも仲良くしたいのに。
ブルームーンくんは同時期に来たのに、俺がしばらく誰とも会わない間に、
すっかり警戒されてしまったような気がする。今からでも、仲良くなりたいのに……。
せめて、もふ分を多少なんとかするぐらいは……。

俺はもってきていた九尾しっぽをつけてみた。うん、すごくもふもふ。
そして、さっき断られて、仕方なく藍鉄くんから離れたブルームーンくんのところへ駆け寄って行った。
「さあブルームーンくん! もふりたいんでしょ! 今とってももふりたいでしょ!
存分にもふっていーよ!」
俺は、お尻につけた尻尾を見せながら、ブルームーンくんに言った。
「……」
「あれ?」
ブルームーンくんは、一瞬びっくりした顔をしていたが、すぐに俺のことを睨んできた。
「そんなとってつけた尻尾が藍鉄の尻尾にかなう訳ないだろ。ばかにしてんのか。
それにつけてるのがお前ならなおさら嫌だ。しっしっ」
払いのけるように手を振られて、俺はショックだった。
「あからさまに落ち込むなよ! くっそ、そんな顔されても俺は知らねーからな! な!」
ブルームーンくんは若干困惑した顔をしつつも、すぐにそこから逃げていってしまった。

俺はしばらくそこで立ち尽くしていた。
そして、つけた尻尾を自分で触った。
……よく動くし、すごくもふもふだ。
そういえば、自分でつけたら、自分で触れる。
なんで自分でつけないんだろ? 自給自足じゃん。