交差#21「頼りになる援軍」 - 3/3

また、新しい仲間を呼べることを期待して、ライトくんにステージに立ってもらう。
「大丈夫? さっきのステージは残念だったかもしれないけど」
「よくあることだ! 皆がバックについてくれてるんだ、安心してできそうだぜ」
にぎやかになったおかげで、何となくライトくんの表情も明るく見える。
やっぱり皆を呼んできてよかったのかな。
「さっきみたいに、いざとなったらアペンドさんが成功させてくれるし」
ライトくんは、皆の後ろにそっと立っているアペンドの顔を見た。
「俺は別に、ただ終わらせようとしてるだけだけど……」
アペンドが小さい声で言って、今は自分の番じゃないから、みたいな雰囲気で、後ろに下がった。
「頼りにしてるんだから、そんな自信なさそうな顔するなよな。
ま、ここは今度こそ俺が新しいやつを連れてきてやるけど!」
反応も見ずに、そう言うなりライトくんはステージに上がっていった。
もう何人も皆を連れてきてくれたし、慣れたもんだなぁ。
「……自信なさそうに見えてるのか」
アペンドはぽつんと呟いていた。

皆が見守る中、ライトくんが曲に合わせて踊っている。
ここもキュートエリアの曲だけど、かなり様になってきてるんじゃないかな。
アペンドは皆の後ろの方に立ってそれを眺めていた。

……僕も見てなきゃいけないかもしれないけど、少しだけ、空けよう。
僕はアペンドにそっと近づいた。
「何だ」
アペンドが僕を睨んだ。
「……恐い顔するなあ」
「おとなしく見てろよ」
「大丈夫だよ、皆見てくれてるんだから」
僕はそう言いながら、皆のいるところから少しずつ離れた。
何となく、アペンドに「ついてきて」と目線を送ると、ステージの方を何度か見てから、
不満そうな顔をしながらもついてきた。
「お前は責任持って見てなきゃいけないんじゃないのかよ」
「……それはそうだけど、正直君が心配なんだよ」
「何が」
無表情ではなくて、結構いらついた顔を見せてきて、ちょっと意外だった。
でも、分かってないんだろうなぁ。自信なさそうな顔って言われたこと。
「役目に溺れてないかって」
「……役目は果たさなきゃいけないだろ」
別に、自信がない顔だったわけじゃないとは思うんだけど、
ライトくんも何となく、アペンドの違和感みたいなものに気づいて、
ああ言ったんじゃないかな、と、僕は思ってる。
「君がただ、何かを壊すだけのものに見えたんだよ」
「それができるからやっただけのことで、それを全うして何が悪いんだ」
「ちょっと、君の感情を見失ったみたいな気がしたんだよ」
「別に、必要ないだろ。成功させるだけなら」
ああ、そうだったんだ、やっぱりそう思ってたから……。
いくら完璧でも、それはどうなんだろうな。
「僕、そういうの嫌いだな」
僕はそう言った。多少聞き覚えがあるかな、と思って表情を見てみると、
やっぱり多少怒った顔をしている。なんだ、やっぱり感情はあるくせに。
本当なら、僕よりよっぽど感情豊かなはずなのに。
「どうせお前になんて好かれることないから、勝手に言ってろよ」
アペンドはそう言って、僕から離れるようにステージの方へ近づいて、ライトくんを見上げた。
……これで、ちょっとは感情のことも思い出してくれたらいいんだけどね……。

話をしているうちに、もう変身の時間が迫ってきていた。
後で話してもよかったんだけど、ライトくんが戻ってくるまでに、
せめて自分がちゃんと頼りにされてることを嬉しく思ってほしいんだよね。
「よし、今度は来てるみたいだぜ!」
「来たよー!」
「頼んだ!」
声がして、ライトくんはその声の人と交代した。
現れたのは、浴衣くんだった。

浴衣くんも水着くんと似たタイプで、こっちに来る前は留守にしてることの方が多かったから、
あまりステージに立つイメージってないんだけど……ちゃんとやってるなー。
こっちに来て初めての晴れ舞台だし、一番注目される瞬間だもん。
僕達は皆で浴衣くんのダンスを見守った。

「今度は成功だな!」
曲が終わると、交代して袖に隠れていたライトくんが浴衣くんの方に駆け寄っていった。
「おつかれー!」
僕もステージの下から浴衣くんに呼びかけた。
「うわぁ、随分たくさんいるねぇ。皆出迎えてくれたの?」
浴衣くんはライトくんと見ていた僕達の方を代わる代わる見た。
「もしお前が来なかったら、代わりに俺たちの中の誰かでステージに立とうとしてたんだよ」
パンキッシュくんが言うと、浴衣くんは「えっ」て声を出しかけて、困惑した顔になった。
歓迎されてないの……って思ってるみたいだ……そんなことないのに……。
「パンキッシュくん、君の狙いはそうかもしれないけど、
こっちに来てない人の出迎えがステージの目的だからね……?」
僕が言うと、きまりの悪そうな顔をして目線を外した。