交差#27「修行からの帰省」 - 1/2

※2話分まとめになっています


多少僕のせいらしい騒ぎもあったけれど、続きが待っているから、僕達は次のステージに移動した。
早速、かっこいい感じの曲で、ライトくんがダンスを始める。エレメントは違うけど、結構合ってる気がするなあ。これならこの曲も、問題なく成功させられるかな?
そう期待しているうちに、交代の時間がやって来た。
「よし! 頼んだ!」
ライトくんがそう言ったってことは、また、新しい仲間が来てくれているみたいだ。
「わかったよ!」
元気のいい返事が返ってきて、交代する。
……あの黒い服に、発光するライン、黒色のヘッドホン。
「レシーバー!」
スターマインくんが、ステージに出てきたレシーバーくんに手を振った。
僕も、密かにずっと待っていたんだよね。っていうのは、実際はリンに初めから言われてたからなんだけど、「ニートまだ?」って言われた本人だからね。
「やるよー!」
そう言って踊り始めようとしたレシーバーくんが、急に、体の動きを止めた。
「ど、どうしたの? 何してんの?」
客席で見ている僕達は、戸惑いと心配でレシーバーくんを見つめた。
「な、なに、……だれ? う、うるさいよ、やめてよ」
レシーバーくんは、両耳に手を当てて、よろよろとステージの上でさまよい始めた。
「……っ」
僕の横でそう聞こえたかと思うと、既にアペンドが走り出していた。ステージの下まで駆け寄った頃には、曲は鳴りやんでいた。
ステージは、失敗だけれど、それより、問題はレシーバーくんだ。
曲が終わったのを確認してすぐ、アペンドはステージにかけ上がって、よろけるレシーバーくんの肩を掴んだ。
「……何か受信してるのか?」
「わかんない、わかんないけど! 誰かが!」
切迫した顔の二人はそう言っている。……受信、って、なんだろう。……でも、名前がそうだから、なのかもしれない。もしかしたら、体質として、ステージの邪魔をまともに受けたのかもしれない。ライトくんがステージで踊っていた間は大丈夫だったんだから。
「……代わるから、ごめん、また来てくれる?」
「……は、はい」
アペンドが言うと、レシーバーくんは返事をして、そのあと、光に包まれて消えた。
「な、何があったんだよ」
ステージ袖に行っていたライトくんが、アペンドのいるところまで戻ってきた。
「……微弱な、電波が……ね」
アペンドは、片方の耳のところへ指を当てて答えた。
「レシーバーくん、不運だったな。他の人じゃわかりもしない電波だったんだけど……」
「その電波は、今は?」
「俺が引き受けてる。俺は平気だから」
「そうか、なら……リベンジ、頼む」
不運だし、残念だった……けど、気を取り直すしかないよね。
ライトくんがステージを降りて、再度、曲が始まった。

「電波かあ。……分かんなかったけどな」
ステージで踊っているアペンドを見ながら、ライトくんは首を傾げた。
「普通の人はわからないって言ってたからね。アペンドが分かるのは、スキルのおかげだろうし」
相変わらず邪魔はあるんだなあ。アペンドも普通に戻ったとはいっても、邪魔を何とかする意識は途切れさせちゃいけないし、……全然気が抜けないだろうな……。
「そろそろ交代だよー。……うーん、カオスエリアだし、藍鉄くん、来る?」
交代のタイミングを迎えたアペンドが、そう呼び掛けてきた。
「ぼ、僕ですか?」
「えーっ、僕じゃなくて!?」
驚く藍鉄くんと、その横で声を上げているストレンくんがいるけど、スムーズに交代は済ませたいからね。
「ストレンくん、我慢ね。藍鉄くん、いってきて」
「うわーん!」
僕はストレンくんを押さえておいて、藍鉄くんを見送った。藍鉄くんは申し訳なさそうにストレンくんの方を振り返りながら、ステージに上がっていって、アペンドは舞台袖に隠れていった。
今度は続きは難なく行って、ステージも成功だった。

「残念だったなあ」
ステージから藍鉄くんとアペンドが戻ってきて、僕が言うと、
「せっかくレシーバーくんが来てくれたのにね」
トランスミッターちゃんの件を聞いているアペンドはそれに同意しつつ、仲のいいスターマインくんが落ち込んでいるのをそっと慰めた。
「あー残念。僕もステージに立ちたかったー」
一方でストレンくんはそんなことを言っていて、ブルームーンくんがそれを睨んでいた。……藍鉄くんの方がいいに決まってる、と思っているに違いない。それに、ストレンくんとブルームーンくんも、そこまで仲はよくないからなあ……。