翌日、リンは少し早めに目を覚ました。昨日早く眠ってしまったからだろう。着替えてから、リンは自分の部屋を出た。
いつもごはんを食べるテーブルで、レンが雑炊を食べていた。もしものために、いくつか買い置きしてある雑炊のパックを開けたらしい。
「おはよう」
リンが言うと、レンはリンの方を見上げてうなずいた。
「昨日はちゃんと眠れた?」
「寝すぎたかもしれない」
雑炊をすくったスプーンを見つめながら、レンは小さな声で言う。
「体調悪かったの?」
「……多分、そう」
「今日は平気なの?」
「……大丈夫」
スプーンから一口で食べて、すぐに器にスプーンを差す。食欲がないわけではないようだ。
特別元気でもないが、それは普段から冷静なレンの普通だ。リンは少し安心した。
自分も何か朝ごはんを食べようかな、と、リンが冷蔵庫を開けたそのとき、端末から通知音が鳴り響いた。……欠黒象の通知音だ。
リンは冷蔵庫のドアを閉めた。通知を確認する。欠黒象の現れた場所は公園で、学校とは逆方向だ。今から公園に向かえば、いつもの通学のバスには間に合わないだろう。
「行ってくるね、多分遅刻する」
端末の画面を消して、リンは言う。
「分かった。俺は先に学校行ってるよ」
レンはうなずく。うなずき返してから、リンは外へ向かった。