夕ごはんの時間になり、リンとレンはテーブルで向かい合った。今日も、食堂から持ち帰ったごはんは安心の味だ。
レンの正面でごはんを頬張るリンは、とても嬉しそうだ。その表情に、レンは安心した気持ちになる。
「ん? レンどうしたの?」
視線を感じたのか、リンは聞いてきた。
「いや、笑ってるなって思って」
「そんなに? 気になるほど?」
「……引くぐらいには」
本当は「笑っていてくれるのが嬉しい」のだけれど、レンはごまかした。気恥ずかしさもあるし、ここで改めて言うことでもない。
「えーっ、いいじゃん、だって嬉しいんだもん!」
「……何が」
「レンと一緒の仕事のことだよ!」
「今朝の話だろ、なんでまだ笑ってんだよ」
「今朝からずーっと考えてるの!」
「他に考えることないのかよ……」
レンは呆れたふりをした。実際は、リンと同じだ。自分の部屋で悩んだ分も含めて、リンと一緒の仕事のことばかり考えている。
「なんか、レンと一緒にいるって、すごく特別な気がするんだもん」
「今一緒にいるだろ」
「違うー! 仕事で一緒になるのは初めてだもん!」
「練習風景の撮影なんだろ、練習は一緒にずっとやってきたんだから、大して変わらないと思うけど」
「それでも仕事は仕事だよ! レンと一緒なら安心だし。頼りになるもん」
「頼るようなことあるのか?」
「レンが一緒にいるってことが支えになるの!」
「……」
レンは言葉を返せなくなった。一緒にいることを認められて、しかも喜ばれていて、もちろん嬉しいが、あまりにも照れくさい。そんなレンの表情を見て、リンは笑い声を漏らした。
「一緒に仕事できること自体も嬉しいんだけどね、一緒に仕事できたら、私たち、本当の双子になれる気がするんだ!」
「……え」
「私は今も双子だと思ってるよ。でもさ、客観的にっていうの? 私たちを双子だって思って見る人が増えるでしょ。だから、本当になるんだなって」
「……」
レンが戸惑った顔をしていると、リンは首を傾げた。
「レンは嫌なの?」
「い、いや、そんなわけじゃ……」
「変なこと言ったかな」
「……分からない」
レンは静かに言って、ごはんを口に運んだ。リンも、喋るのに夢中になっていて、すっかり食べることを忘れていた。
ごはんを食べ進めるリンの表情からは、徐々に嬉しさが薄れていく。レンは、それに焦りを覚えつつ、自分もごはんを食べる。
自分は、本当にリンの双子の相手になってよかったのか、迷い続けていた。初めは、リンの意思など関係なく、レンが思い込ませただけだったのに。それでもリンは、レンと双子であることを嬉しく思ってくれているようだ。本当の双子になれる、と言うほどに。
レンは、リンがそれを望んでくれるなら……と、思っている。でも、それだけではない、自分に確かにある、隠している気持ちは……リンのものと、同じはずだ。
「リン……」
箸を置いてレンは言う。ほぼ、戸惑いだけの表情になったリンは、レンを見つめた。
「……俺も嬉しい」
「……?」
「リンと……双子になれるのが」
リンの表情が、ぱっと明るくなった。
「よかった!」
「……うん」
レンも、素直に微笑んで見せた。